或る世界

次の石から出る水

見えない継ぎ目から足もとへ水が出る

爪先を、草の間に半分だけ見える矩形の石へ載せる。体重を移すと、靴の下ではなく、その一つ先の葉の隙間から濁った水が細く出た。水は短い直線を二本描き、見えない石の角で曲がる。

二本の直線を石の縁だと決め、交わる角へ棒を差し入れた。葉を分けると、その通りに灰色の角が現れる。水は硬い面を通り抜けず、縁へ押し出されたのだろう。次も同じ線を探せば、石へ足を置けるように思えた。

現れた石の中央は泥に覆われ、硬さまでは見えない。踵を手前へ残したまま、爪先だけで二度押す。一度目は沈み、二度目には水が左右へ抜けて硬い面が返った。体重を移すと、その先でも濁った筋が動き始める。

片足を移した。さらに前方の筋も直角に曲がったので、同じ場所へ棒を伸ばす。触れたのは石ではなく、横倒しになった太い茎だった。泥水はその脇にも細い縁を作り、硬い角と同じ印を残す。

棒で茎を持ち上げると、水の直角は崩れ、下には柔らかな泥だけがある。爪先を少し戻す。踏み終えた石の継ぎ目から小さな泡が一つ上がり、今度はどの線にも沿わず、その場で丸く消えた。