紐の十センチ下

二本の紐を右へ引いて留め具を外し、親指と人差し指の間を十センチだけ滑らせた。巻かれていた簾の下端が一段ぶんほどけ、窓外の青い光の輪へ上から重なる。
指を閉じると、簾もその高さで止まった。光の輪は上端を失ったが、斜めの線は隠れた先へまだ続いている。紐に触れている指の幅だけが、見えない部分の長さを測る目印になった。
さらに紐を送り出す。下端の棒が窓枠を横切るたび、手には小さな重さが増えた。赤い線が一本、次に青い線が二本、簾の裏へ入る。見えている輪の方は縮まず、上から順に欠けていく。
半分ほど閉じたところで紐を左へ振り、留め具へ掛け直した。指を離しても下端は動かない。右手には紐の擦れた熱だけが残り、窓の下半分では、切られた光の線が水面近くまで伸びていた。
もう一度紐を持ち、今度は下へ引く。簾が一段ずつ折り畳まれ、隠れていた赤と青が下側から戻った。最後に上端の弧が現れると、右手へ集まった紐は最初より長く垂れ、その先が手首へ一度当たる。