或る世界

灯りの側の一粒

拭けない白さを灯りの側から消してみる

カメラを卓上でゆっくり傾けた。レンズの上を白い丸が二つ滑り、一つは縁へ消える。中央より少し右にある小さな点だけは、黒いガラスの同じ場所へ残った。

ブロワーの先を近づけ、斜めから三度空気を送る。外側の輪にあった埃は細く転がり、本体の角へ移った。動かなかった一点へもう一度風を当てても、白さは丸いままである。

レンズ用の布を人差し指へ巻き、中央から外へ小さな螺旋を描いた。布を離すと指の跡はない。それでも一点は、拭いた軌道の内側に残っている。表面でなければ、こちらの手は届かない。

カメラを持ち上げ、今度は左右だけでなく上下へ傾けてみる。一点はガラスに留まっているように見えたが、机の照明を手で覆うと急に薄くなった。手をどけると、同じ場所に丸い白さが再び浮かんだ。

布を畳んで机へ置き、照明のスイッチを切る。レンズの中央は黒くなり、拭けなかった一点も一緒に消えた。ブロワーで飛ばした埃だけが本体の角に残り、暗い机の上で指先に触れる。