机へ渡る三回

手前の黒い部品を親指と人差し指で挟み、まっすぐ引く。指は動かないまま、透明な覆いごと機械が机の上を数ミリ滑った。左手を伸ばす前に、もう一度だけ力を足す。
部品は急に抜け、引いていた右手が胸の方へ跳ねた。金属の先が覆いの縁へ軽く当たり、机には短い音だけが残る。空になった差し込み口の奥を覗いても、さっきの固さを示すものは見つからない。
隣の部品へ指を移す。同じ幅の黒い部分を持ち、今度は初めから左手で機械を押さえた。引く右手へ力を足すたび、左の掌には反対向きの圧が増える。部品が外れても右手は跳ねず、代わりに左手の下で覆いが一度きしんだ。
三つ目を持つ前に、機械を机の縁近くへ動かす。左手の指を覆いの上ではなく側面へ当て、腕を机へ伏せた。右手で引いた力は、部品から差し込み口、覆い、左手、机へ順に渡る。途中で一度止まったあと、最後は音を立てずに指の間へ収まった。
机の上では、三つは抜いた順に並んだ。外から見える形は、どれも黒い長方形に近い。空いた口へ一つ目を戻し、抵抗が増したところで押す手を止める。機械は滑らない。左腕を机から上げると、肘のあった場所だけが丸く温まっていた。