或る世界

指の影を五本置く

遮った白さに花弁の重なりが戻る

白い花の上へ掌をかざした。光を受けて一つの面に見えていたところへ影が入り、内側へ巻いた花弁の縁が現れる。掌を少し動かすと、細い皺が影と一緒に隣の花へ渡った。

手を近づけすぎると、一枚の花弁だけでなく花全体が暗くなる。肘を引き、掌と花の間を広げた。影の輪郭が柔らかくなり、白さを残したまま、重なった場所だけに淡い灰色が差す。

五本の指を少し開く。指の影と、その間を抜けた光が花の上へ交互に並んだ。明るい帯では縁がまた見えにくくなり、暗い帯では表面の細かな筋まで現れる。同じ一枚の花弁を、明暗が細く分けていく。

親指だけを曲げ、中央の花へ丸い影を置いた。花弁の奥は薄い黄を帯び、その手前の白と離れて見える。周りの花は光の中へ残り、形より先に明るさが目へ届く。

掌を下ろすと、灰色だった筋は白さに紛れる。今度は一本の茎をつまみ、花をわずかに手前へ傾けた。外側の花弁が内側へ影を落とし、手をかざさなくても皺が一本現れる。その影は花と一緒に動き、指を離すと縁の下で止まった。