支柱の中の一枚

左上の羽根が支柱へ重なるまで、目を離さず待った。先端は空の明るいところをゆっくり下がり、支柱へ近づくほど黒い線どうしの隙間が細くなる。
羽根が真下を向くと、その輪郭は太い支柱の中へ入った。風車の上には斜めに開いた二枚だけが残り、遠くからは大きな二又の道具に見える。消えた一枚は回転を止めたのではない。動き続けたために、こちらから見えない線へちょうど収まっていた。
そこで一度、瞬きを挟む。目を開けても形は二又のままで、羽根が重なった瞬間だけを切り取れば、回転していることまで消えてしまう。けれど右上の羽根は少しずつ傾きを変え、見えない一枚も支柱の裏で同じ角度だけ進んでいるはずだ。
やがて支柱の右側から、細い先端が少しずつ現れた。短い黒線は長さを増し、三枚目の羽根へ戻っていく。見えなかった間を確かめる印は残らない。それでも上の二枚が動いた距離と、今ほどけてくる一本の長さが、支柱の中でも回転が続いていた時間を示していた。