一枚だった三つの輪

厚い玉葱の中央をトングで挟み、裏返そうと持ち上げた。内側の二つの輪はついてきたが、外側だけがアルミ箔の上に残る。白い円盤を持ったつもりの手から、急に真ん中の抜けた形が下へ落ちた。
持ち上げた方を脇へ置くと、内側の輪も重なりを失う。切る前は同じ高さに揃っていた面が、三つの細い輪になって別々の場所を占める。元の外側へ戻そうとしても、柔らかくなった縁が内へ曲がり、隙間なく収まらない。
トングの先で外側を少し広げ、二つ目をその中へ置いた。焦げた線の向きを合わせると、片側は近づくが、反対側には細い三日月形の空きができる。いちばん小さい輪を加えるころには、どこが元の中心だったのか判然としない。
輪切りは、包丁を入れた直後なら一枚として扱えた。けれど層の境目まで切ってつなぎを失えば、重なって見えることだけが一枚らしさを保っている。持ち上げる力は同じ方向へ掛かっても、加熱面との接触や柔らかさの違いで、輪ごとに残る場所が分かれた。
元へ戻すのをやめ、三つを少し離して並べる。トングで一つずつ返すと、それぞれの下から異なる太さの焼き跡が現れた。最後の小さな輪は転がって隣のキャベツへ触れ、円のまま斜めに立って止まる。