卓を外れた肘掛け

二脚の椅子のあいだへ足を入れたところで、右の肘掛けに腰が触れた。身体を横へ向けても、今度は左の椅子の背へ肩が当たる。足は通れるのに、上半身の幅だけが途中に残った。
右の椅子を持ち上げず、前脚を支点にして外側へ少し回す。背の間は広がり、正面を向いたまま通れる幅ができた。その代わり、座面は低い卓に対して斜めになり、手前の肘掛けだけが卓の角から遠ざかる。
通り抜けたあと、その椅子へ腰を下ろしてみた。膝は卓の端ではなく隣の空席へ向き、手を伸ばすと上半身だけを左へねじることになる。椅子を卓へ正対させれば座りやすいが、立ち上がるたびに同じ細い隙間を横向きで抜けなければならない。
座ったまま、踵で前脚を内側へ押した。椅子は正面へ戻りかけ、肘掛けと卓の距離が縮まる。完全には戻さず、膝が卓の角を向くところで止めた。座面には斜めが残ったものの、手はねじらず卓へ届く。
もう一度立って椅子の後ろを通る。今度は腰も肩も触れなかった。通り過ぎながら手で背を押すと、椅子はわずかに卓の方へ回る。開けておいた隙間は指一本ぶん狭くなり、座面だけが先ほどより正面に近づいていた。