一本目では裏返る

ソースに浮いた薄切りへフォークの先を置くと、中央だけが沈み、手前の縁が持ち上がった。一本目の歯が滑ったところで、曲がった一片は半回転する。濃い色をまとっていた面が下を向き、淡い裏側が現れた。
今度は二本の歯を開き、挟む角度へ持ち替える。片方が入る前に、もう片方が丸い縁を外へ押し出す。薄切りは皿の上を短く滑り、ソースの表面に細い弧を残して、肉らしい塊の脇で止まった。
そこなら逃げないと思い、塊へ押し当てたまま刺す。けれど縁が壁に沿って立ち上がり、フォークと塊の間で二つに折れた。穴は開かない。力を抜くと、折れ目だけを残してまた浅い曲面へ戻る。
歯を真上から落とすのをやめ、フォークを寝かせた。先端を一片の下へ滑り込ませ、匙のように持ち上げる。刺して固定しようとしたときより、手首へ伝わる重さは小さい。それでも傾ければすぐ落ちそうで、皿から口までの間だけ、呼吸を止めた。
唇へ触れる寸前、一片がフォークの横から滑る。落ちた先は皿ではなく、すぐ下のソースだった。今度は裏返らず、淡い面を上にしたまま小さく揺れ、最初に歯を置いた場所より少し遠くで止まる。