傘の下だけ逆向き

道に合わせて左へ曲がった瞬間、傘が右へ引かれた。足は曲線の内側へ進んでいるのに、柄を握る手だけが肩の外へ持っていかれる。親指と人差し指の間へ、細い柄が斜めに食い込んだ。
傘を風上へ傾けると、今度は縁が視界の前へ下がる。道の先を見ようとして顎を引けば、傘も一緒に前へ倒れ、受ける風がさらに強くなった。足を止めず、手首だけを少し内側へ返す。
次の風で、柄の端が掌の中を半周する。傘の面は頭の上で右へ流れ、左足まで外側へずれかけた。柄の端を持つのをやめ、手を上へ滑らせて、留め具に近いところを握る。
傘の先が顔へ近づき、見える空は狭くなった。その代わり、手首へ掛かるねじれは小さくなる。風が来るたび腕全体を振らずに済み、指の間で柄を数度だけ回せた。足はようやく道の線に沿って左へ向く。
木の脇まで来ると、傘の縁が静かになった。柄を元の位置で持ち直す。道はまだ曲がっているのに、指の間には右へ引かれた角度だけが薄く残っていた。