勝利の下の四分五十七秒

勝利の文字を見てから、その下に並ぶ二つの時間を引き算した。五十三分二十八秒と、四十八分三十一秒。終えることはできたが、以前の自分より四分五十七秒遅かった。
画面は大きな英字で成功を告げながら、すぐそばで最速ではないことも知らせる。勝ったのかと問われれば勝っている。うまくできたのかと問われると、どの数字を見るかで返事が変わる。同じ一回が、合格と記録未達の両方になる。
もしベストタイムが表示されなければ、最後まで進んだ安堵だけで画面を閉じただろう。反対に時間だけが出れば、遅れた理由を先に探したかもしれない。二つが並ぶと、喜ぶことと惜しむことのどちらか一方を選ぶ必要がなくなる。結果は一つでも、受け取り方まで一つにはならない。
以前より遅かったから、この勝利の価値が減るわけではない。だが、勝ったのだから速さはどうでもよいと言えば、記録を見てしまった目に嘘をつく。達成をそのまま受け取り、差も消さずに置いておく。画面に二つの欄があるように、感情にも二つの置き場所があってよいのだろう。
戻る印へカーソルを合わせた。決定する前に、二つの時間をもう一度だけ見る。勝利の文字は消さず、四分五十七秒の差も覚えたまま、ボタンを押した。