或る世界

葱の輪が止まるところ

小さな緑の輪だけが重なりの奥へ消えた

丼を手前へ引くと、上にあった緑の輪が一つだけ動いた。肉らしい薄片の傾きを二度跳ね、途中の窪みへ落ちる。箸を持つ前だったので、その短い移動を最初から最後まで見ていた。

ほかの刻んだ緑は、盛り上がった場所に残っている。転がった一つも同じように載せられていたはずだが、器を数センチ動かしただけで、見える位置から消えた。箸先で探せばすぐ見つかりそうなのに、どの重なりへ入ったのかは見失った。

小さなものは、全体の飾りとして見ているうちは数から外している。散らばった緑として受け取り、どれがどこにあるかまでは覚えていない。ところが一つが動くと、それだけに行き先が生まれる。残った輪は配置の一部のままなのに、落ちた輪だけが、丼の中で通った道を持った。

箸で上の一枚を持ち上げてみたが、その下にはいない。別の一枚の端をめくると、白い飯が少し現れた。緑の輪を見つけるために食事を始めたわけではない。それでも、最初の一口を選ぶ目は、味より先に小さな空洞を探していた。

結局、輪は見つからなかった。箸を置くと、丼の縁に残った緑が一つ、横向きのままこちらを向いていた。器はもう動かさず、次の一口ではその横に箸を入れる。