或る世界

白い皿の濃い味

白い皿に盛られた濃い色の豆腐料理

白い皿の中央に、濃い色の料理が盛られていた。角切りの豆腐らしいものが、つやのある汁の中に並んでいる。まわりのご飯や小鉢が淡い色なので、皿の中心だけが、食卓の温度を集めているように見えた。

強い味の料理は、一口目で印象を決める。辛さや香りが先に立ち、ほかのものを少し遠ざける。それでも白いご飯やさっぱりした小鉢が並ぶと、味は一つだけでは終わらない。濃いものがあるから、淡いものの役目もはっきりする。

一日の中にも、集中して向き合う時間がある。大切だが、長く続けすぎるとほかの予定まで同じ濃さで塗ってしまう。短い休憩や、窓を見る時間、誰かへの返事が間に入ることで、考えていたことの形が変わる。切り替えは脇道ではなく、次の一口を受け取るための器になる。

皿の縁には、まだ白い部分が残っていた。急がずに食べれば、最後まで味の順番を選べる。

食卓の明るさが、濃い色を少しやわらげていた。湯気まで静かに見えた。心地よい。