緑の奥へ続く道

濃い緑のあいだに、細い道が奥へ続いていた。少し先で暗くなり、その向こうに何があるのかは見えない。足元だけは明るく、次の数歩なら迷わず置けそうだった。
先が見えないことを、すぐに不安だと思う必要はない。散歩道なら、曲がり角の先を知らないからこそ、木の匂いや葉の重なりに気づく。目的地を急いで確かめようとすると、歩いている時間そのものが通過点になってしまう。
仕事でも、長い計画を立てるときほど、最初の区切りを小さくしておく方がよい。全部の答えを持ってから始めるのではなく、今見えている範囲を確かめ、次の手がかりが現れたら少し直す。遠回りに見えても、その方が道を自分のものにできる。
木漏れ日が地面にまばらな形をつくっている。今日はその明るい所まで歩けばよい。そこから先の景色は、着いてから受け取ればいい。
足を止めても、葉は風に合わせて揺れていた。道は急かさず、ただ奥へ向かって開いている。そこで深く息を吸った。