或る世界

桟橋に並ぶ黄緑

遠い設備の前でそろう小さな車両

桟橋の端に、同じ色の小さな車両がいくつも並んでいた。向こう岸には橋や大きな設備が続き、こちらの列だけが、次に何かを運ぶ前の静けさを持っている。

遠くのものは、役目をすぐに想像させる。橋なら渡るため、塔なら上へ伸びるため、船ならどこかへ向かうため。けれど手前に並ぶ小さなものは、まだ役目の途中にいる。使われていない時間があるからこそ、同じ形や色の違い、影の長さ、車輪の向きが見えてくる。

旅の準備でも、動き出す前に並べる時間がある。荷物を床に置き、切符を確かめ、次に必要なものを手の届く所へ移す。出発そのものより目立たないが、その整え方で移動の最中に慌てる回数が変わる。待つことは止まることではなく、次の動きを軽くするための配置でもある。

水面の光が桟橋の下で揺れた。車両の列は動かず、同じ間隔を保っていた。

列のあいだに空いた場所までが、出発を急がせないための余白のように見えた。しばらくその場に立っていた。