或る世界

残り枚数の向こう

残り枚数を数えながら静かに持つ重さ

カメラのそばにフィルムを置くと、まだ撮っていない景色まで、少し重くなる。残り枚数には限りがあり、シャッターを切れば、次のためらいは一つ減る。

たくさん撮れる道具では、迷った一枚も後で消せる。しかし、残せる数が少ないと、目の前のものを長く見るようになる。光が動くのを待つか、通り過ぎる人を入れるか、それとも何も起きない道をそのまま撮るか。選ばなかった場面は、写真には残らない代わりに、その場所の記憶へ細く混ざる。

旅の途中では、記録することが目的になりすぎると、見ることが急に浅くなる。写したものを後から見返す楽しみはあるが、画角の外にある匂いや、足に伝わる坂の傾きまで保存できるわけではない。現像を待つ時間も、その場には持ち帰れずに残る。撮ることと受け取ることは別の動作で、どちらかを急ぐと片方が遅れる。

レンズの前に指をかざして、いったん光をさえぎった。残りの一枚は、まだここでは使わないことをはっきり決めた。