或る世界

蕾の明るさ

ひらく前にも残る小さな朝の明るさ

咲ききった花のそばで、いくつもの蕾が同じ向きを向いていた。黄色い花弁は外へひらき、まだ固い蕾は、光の届く方だけを細く示している。背の高い蕾もそこにある。

咲いているものには、つい目が止まる。形が完成していて、いま何が起きているかをこちらに分からせてくれるからだ。けれど蕾の時間にも、そのものだけの濃さがある。まだ見えない色を抱えたまま、雨や風を受けながら、ひらく日を決めずに立っている。

人の予定も、早く形にした方が安心できる。返事を待つこと、手元の準備が整わないこと、考えがまだ言葉にならないことは、遅れているように見える。しかし、急いで答えを付ければ、後から直すために余計な力を使うこともある。出発の日取りだけを先に決めても、そこで使う時間まで整うわけではない。定まらない時間にも、確かな別の役目が残る。

花の影へ目を移すと、次の蕾にも小さな明るさが残っていた。順番を競わず、同じ茎で待っている。静かな列だった。