或る世界

アーチの内側

枝葉の下を通ると、入口は周りを包む形へ替わった

花の絡んだアーチの下に、細い小径が続いていた。左右の枝は上で近づき、道の先には別の明るさがある。足元の石は不揃いで、まっすぐに見える小径にも、歩くたび小さな段差があるようだった。

通路を見ると、先に出口を探してしまう。どこへ続くかが分かれば、今いる場所の長さも測れるからだ。しかし花の下へ入ると、出口より手前の枝が気になる。葉の影、花の色、頭の上で枝が交わるところ。目的地へ向かうための道でも、通るあいだにしか見えないものがある。行き先を知ることと、途中を受け取ることは同じではない。

少し進むと、振り返ったときのアーチはさっきと違う形に見えた。向こうからは一つの入口に見えたものが、内側では枝と葉の重なりになっている。境目は越える前には線のように見え、越えたあとには周りを包む形へ替わる。

小径の先へ出る前に、いったん足を止めた。後ろの花は、通り過ぎた場所ではなく、さっきまで自分を囲んでいた明るさとして残った。