或る世界

器を越える茎

透明な器の縁を越えて、細い茎が外へ伸びた

透明なグラスから、細い茎が弧を描いて伸びていた。小さな葉は途中で何度も向きを替え、空の器であるはずのグラスに、緑の線だけが立ち上がっている。後ろの鉢植えはぼやけ、手前の茎の曲がりだけがはっきり見えた。

花瓶やグラスに一枝を入れると、植物の育つ場所は急に小さくなる。土の中で伸びる根は見えず、水の量も限られ、茎は器の縁を越えるところから外へ出る。それでも枝は、与えられた形にぴたりとはまらない。まっすぐ伸びず、少し曲がり、葉を別の方角へ向ける。その余分な線があるから、器は単なる容れ物ではなく、枝の動きを受け止める場所になる。

光が当たると、グラスの縁に細い反射ができた。茎はその線を通り抜け、器の中と外を同じように占めている。境目を越えることは、どちらかの側を捨てることではない。根元を残したまま、先の方だけが別の空気へ出ていくこともある。

目を離して戻ると、葉の向きは変わっていなかった。けれど透明な器の中にある水だけが、さっきより少し明るく見えた。