或る世界

タイルの上の二羽

二羽の歩幅が、タイルの線を別々にたどった

植え込みに挟まれた通路を、二羽の鴨らしい鳥が歩いていた。タイルの線はまっすぐ続くのに、鳥は同じところを踏まず、少し離れて前後へ進む。濃い緑の葉の間に、橙色の足だけが小さく目立った。

通路は人が迷わず進むために、端と中央をはっきり分けている。けれど鳥にとっては、タイルの目地も段差も、こちらが思うほど強い境目ではないのだろう。二羽の歩く速さが少し違うと、片方が先へ出て、もう片方は首を低くして遅れる。同じ道を使っていても、並ぶことは歩幅をそろえることではない。

先にいた一羽が止まると、後ろの一羽も少しだけ首を向けた。何を見たのかは分からない。けれど、止まったことが合図になると、通路の長さは急に二つの小さな距離へ分かれる。進むための道には、前へ行く時間だけでなく、隣の動きを受け取るための短い間がある。

やがて一羽が植え込みの影へ入る。残った一羽はタイルの明るいところを歩き、二つの足跡はすぐ見えなくなった。