白い面の奥行き

白い建物の面が、空の青さの前で段のように重なっていた。窓は細い横線になり、角だけが光を強く返している。背後の高い建物はさらに細かく区切られ、近い建物とは違う大きさの格子を空へ作っていた。
建物を見るとき、つい中に何があるかを考える。窓の向こうの机や通路、上の階へ行く人のことまで想像してしまう。しかし外から見えるのは、用途より先に面と線の繰り返しだ。同じ高さの窓が並び、壁の白さが光の加減で替わり、影になった部分だけが奥行きを示す。中身を知らないままでも、形の繰り返しにはそこを支える時間が残っている。
少し歩くと、手前の角が背後の建物を隠した。さっきまで大きく見えた高い建物は、白い面の端からわずかに出るだけになる。見通しが変われば、都市の大きさも同じようには受け取れない。遠いものを全部見せない近い壁があるから、空の広さと建物の高さが一緒に分かることもある。
立ち止まって見上げると、窓の線はどこまでも同じ間隔で続いていた。その繰り返しの中に、見えない部屋ごとの違いを置いてみたくなった。