或る世界

折り目の間の重さ

布の折り目の間で、丸いものだけが光を返した

淡い布の上に、丸いボタンらしいものが一つ置かれていた。近くには黄色い小さな留め具があり、布の端は何度も折れている。画面全体は青みを帯びて、何を留めるためのものなのかだけが分からなかった。

手元にある小さなものは、役目が分かるまで落ち着かない。ボタンなら穴を探し、留め具なら通すものを探してしまう。けれど布の上で見れば、役目より先に形がある。丸さ、硬さ、光の反射、折り目にできた影。使うための部品は、使われる前の短い時間だけ、周りのものと同じようにただ置かれている。

指で拾い上げようとすると、布のしわがさらに深くなった。小さなものを動かすだけで、下にあった面の形まで替わる。何かを整えるとき、動かしたものだけが変わるのではない。残された場所の折り目や、次に手を置く余地まで一緒に動く。

光の向きが少し変わると、丸い表面には小さな明るい点ができた。布の上では動かないものにも、時間だけは静かに通り過ぎていく。

手を離すと、丸いものはまた布の中央に残る。何に使うかを決める前でも、その小さな重さだけは、折り目の間で確かだった。