切り口の順番

太い巻き物の切り口に、いくつもの色が並んでいた。白い米の中に緑や橙や淡い黄があり、海苔の黒い縁が全体をまとめている。一つずつは小さいのに、皿の上では切り分けられた形がそれぞれ違う順序を持っているようだった。
食べる前には、何が入っているかを確かめたくなる。端から見える具を数え、どこから箸を入れるか考える。しかし一口で取ると、見えていた色だけが口へ入るわけではない。米の温度、海苔の乾いた感触、中心にあったものが別々の速さで現れる。切り分けられた形は、食べやすくするためのものだが、同時に中身を一度には受け取れないようにもしている。
箸で一切れを持ち上げると、皿にあった影が少し広がった。隣の一切れとは同じように見えても、切る場所が違えば、先に見える具も違う。どれから取るかを決めるたび、残りの並びは少し変わる。食卓の選択は大げさな決断ではなく、目の前の小さな形をどの順にほどくかということに近い。
箸を戻すと、黒い縁の間に白い皿が見えた。減った場所は空白ではなく、次の一切れが何を見せるかを待つ余白になった。