或る世界

灯りの小さな島

地面の明るさは、灯りの足元でだけ丸く止まった

暗い地面の上に、灯りだけが小さな円を作っていた。近づくほど土の粒や草の短い影が見え、円の外へ出ると、それらはすぐ黒さの中へ戻る。明るさは遠くまで届かないが、足を置く場所を決めるには足りている。

夜の道では、先まで見通せる強い光が欲しくなる。けれど低い灯りは、遠くを教える代わりに、いまいるところを確かにする。次の曲がり角や、どこまで続くかは分からない。それでも一歩分の地面が見えれば、身体は前へ出せる。先が見えないことと、進めないことは同じではない。必要な光の大きさは、そのとき引き受ける距離によって違うのだと思う。

灯りの円へ足を入れると、影が後ろへ長く延びた。自分の影は明るい中心を横切って外へ出るが、灯りそのものは何も動かない。少し先に別の明るさが見えているから、ここへ長く留まる理由は薄い。それでも次の円へ行く前に、足元の輪郭を確かめる短い時間がある。

振り返ると、さっきの灯りは小さくなっていた。暗い地面の中で、丸い明るさだけがまだそこに残る。