雲の切れ目の月

木の間に、雲より白い丸が出ていた。明るさは強いのに、空全体を照らすほどではない。近くの葉は黒いまま残り、雲の端だけが少し薄くなる。
夜に空を見るとき、何かを探しているわけではないのに、雲の切れ目を待ってしまう。見えているものが隠れると、まだそこにあるかどうかを確かめたくなるからだろう。しかし雲は、月を消すために動くのではない。こちらの視線とは別の速さで流れ、時々、明るい円の前を通り過ぎる。待つことは、何かをこちらの都合で現れさせることではなく、見えない時間にも同じ場所にあると想像しておくことに近い。
しばらくすると、雲の濃い部分が丸を半分ほど覆った。残った白さは形を失い、空の一部の明るさに見える。そこで目を下ろすと、木の枝の隙間に小さな街灯らしい光があった。空を見ているあいだにも、足元には別の明るさがあり、歩くためにはそちらの方が役に立つ。
もう一度見上げると、丸は雲の外へ戻っていた。待っていたことより、見えなかったあいだも雲が同じ空を通っていたことが印象に残った。