或る世界

木陰の幅

木陰は、人のいないところまで同じように広がった

芝生へ入ると、日向より先に木陰の幅が気になった。大きな木の下は暗く、少し離れたところにはもう別の人のための明るい場所が残っている。どこに座るかを考える前に、影の形が場所をいくつかに分けていた。

広い場所では、人は互いに離れていても同じ景色を共有できる。声が届かなくても、同じ風で草が動き、同じ光が木の葉を抜ける。ただ、その共有は近くにいることとは別だ。木陰の端に立つと、こちらは涼しいが、日向にいる人の手元まで見ようとすれば、目を細めなければならない。離れていることは関係がないという意味ではなく、見えるものと見えないものの範囲をそれぞれ持つことなのだと思う。

影の中を歩くと、靴の周りだけが急に暗くなった。木の太い幹のそばには誰もいないのに、芝生には座るための跡のような平らなところがある。そこへ荷物を置くかどうかは決めず、少し先の明るいところまで歩いた。日向に出ると、さっきまで背中にあった木陰が、地面の上で別の形に見える。

振り返ると、木陰は人を選んでいなかった。誰もいない場所にも同じ濃さで広がり、風が吹くたびに縁だけを少し動かしていた。