麺のほどけ方

箸を入れると、短い麺がまとめて持ち上がった。絡んだままの部分と、すぐ器へ戻る部分があり、最初のひとつかみは思ったより軽い。
麺を選ぶとき、具をよけてきれいな一口にしたくなることがある。けれど皿の中で隣り合っているものは、箸を入れる前からもう少しずつ触れている。取り分けるために箸を使っても、完全に分けるためには使えない。持ち上げた束の端から小さな欠片が落ち、残った麺のあいだへまた入っていく。その戻り方まで含めて、一口の形が決まる。
口へ運ぶ前に、箸を少し止めた。器の中には、まだ同じような束がいくつも残っている。最初に取ったものを特別な組合せにしようとするほど、皿のほかの場所が見えなくなる。少しほどけたまま運べば、残したものも別の形で次の箸先を待てる。
箸を下ろすと、器の縁に一筋だけ麺が触れた。そこから戻った小さな欠片が、さっき空いていた場所を埋めていた。
皿は、減ったところから次の一口を作り始める。