窓に残る雲

ガラスの前で立ち止まると、雲は空よりも近いところにあった。窓の向こうには葉と蕾が重なり、白い花はその手前で、まだ開き切らない。
窓は向こう側を見せるためのものだが、光が強いときにはこちらの空も残す。枝の隙間で雲が途切れると、外を見ているのか、ガラスの面を見ているのかが少し曖昧になる。
指先を近づけても、触れられるのは冷たい面だけだった。雲は格子を越えず、蕾の間に白くとどまっている。
歩き出してから振り返ると、雲の形はもう別の枠へ移る。花の白さは同じ場所にあり、窓だけが空の遅れを受け取っている。