或る世界

木の上の窓

木の高さを越えた窓だけが空を受けていた

芝生の端から見ると、建物は木立の後ろへ半分隠れていた。窓の並びだけが枝より高く、雲の明るさを受けている。

歩道を少し進むたび、一本の木が建物の面を消した。その代わり別の隙間から、白い壁の角が見える。

遠くの建物は動かないのに、見える形は足元の道で変わる。芝生の上にある短い段差も、立つ場所を替える目印になった。

振り返ると、空の広さは建物の上だけにはなかった。木の間へ残った青さが、歩いてきた方向まで続いていた。