或る世界

尾の側から

同じ器の中で、尾だけが先に重なっていた

金属の器を少し回すと、尾びれが重なっている側が手前になった。小さい三尾はほぼ同じ方へ伸びているが、脇の大きな一尾だけは別の向きに置かれている。器の縁は丸く、どちらを手前にしても変わらない。

同じ容器へ入れれば、並んだものは一つの列になると思っていた。けれど頭が集まる側と尾が重なる側が同じではないと、列は途中でほどける。大きさの違いより、向きをそろえないことの方が、器の中を広く見せていた。

どれかを動かせば、四尾は見やすく並ぶかもしれない。ただ、そのためには一尾だけを基準にして、ほかをその方へ向けることになる。いまの器には、まだ中心になる向きがなかった。

器を元へ戻すと、尾びれの薄い黄がまた重なった。頭の方には少し空いた金属の面が残り、その空き方だけが、そろわない向きを受けていた。