或る世界

皿の右端

皿の端に残った色が、手を遠回りさせた

皿の右端に散った黄橙色の小片を、指先で一か所へ寄せた。中央の厚い切り身へ手を伸ばせば届くのに、その前に端の色が目に入った。黒い面では、一つずつが思ったより離れて見える。

主になるものは、皿の中央で待っている。だから端にある小片は、添えられたものとして見過ごせるはずだった。けれど手を動かすと、中央へ向かう道の途中で小片を散らしてしまいそうになる。先に寄せれば、手は遠回りをせずに済む。

寄せたあとも、皿の量は変わらない。小さな色が右端に集まり、中央までの黒い面が少し広くなった。何かを選んだというより、触れずに通れる場所を作っただけだった。

手を中央へ戻す。右端には黄橙色のかたまりが残り、さっきまで空いていた黒い面には、指先の影だけが短く置かれた。