或る世界

木の間の数字

輪郭より先に、木の間から数字だけが見えた

木の間を歩いていると、枝の向こうに二つの数字が浮いた。何を示す看板かは、まだ見えない。足もとを照らす低い灯りとは別に、暗い上の方で数字だけが明るかった。

数歩進むと、その後ろに青い線が何本も現れた。さらに赤い線が交わり、数字の周りに大きな円があるらしいと分かる。けれど枝が揺れるたび、円の外側は切れ、また数字だけが残った。

遠くのものは、全体が見えてから名前をつけるものだと思っていた。ここでは反対だった。数字が先に夜の一部を指し、そのまわりへ線が集まって、遅れて大きな形になっていく。

立ち止まって見上げると、数字の下に小さな街灯が並んでいた。歩き出せば木の幹がまた間へ入り、円は隠れる。それでもさっき見た数字だけは、枝の黒さの向こうでしばらく位置を失わなかった。