青菜を連れて戻る

手前の鉢を越え、箸は奥の青菜へ向かっている。腕を上げるほどの距離ではない。それでも袖口が白い器の上を通るので、肘だけを少し外へ逃がす。
青菜を一枚つまんで戻す途中、箸先が手前の芋の角をかすめた。柔らかい黄色が小さく欠け、青菜の端へ貼りつく。二つは同じ箸先で重なり、どちらか一方だけを外そうとすれば、葉まで落ちそうになる。
そのまま口へ運ぶ。選んだのは奥の緑だったのに、箸は手前の黄色も連れてきた。空になった箸を鉢の上へ戻すと、欠けた角へ玉ねぎがゆっくり倒れ込む。さっきまで黄色だけだった面が、半分ほど白く隠れる。