或る世界

切れ目の光

一貫のまま、表面だけが細かな向きを増やしている

白い身の上に入った切れ目へ、横からの光が細く残っていた。赤い線は、その小さな溝をまたぎながら、表面を途切れずに進んでいる。

切れ目があると、魚は何片かに分かれて見える。しかし下の握りは一つのままで、箸を入れる場所も一つしかない。分けるためでなく、同じ面の向きを少しずつ増やす線なのだろうか。

平らな一枚なら、光は同じ角度で返る。浅い切れ目が並ぶと、隣り合う身はわずかに違う方を向き、明るいところと影になるところが交互にできる。魚の大きさを変えずに、表面だけが細かく折れる。

箸で持ち上げる。赤い線は崩れず、切れ目ごとに違う角度の光を抱えたまま、黒い皿から離れていく。