或る世界

細い筋のところ

箸を置く場所だけが、残る形を先に決めている

箸の先を切り身の端へ当てると、表面が少し沈んだ。強く押さずに横へ滑らすと、細い筋に沿って内側の淡い色が現れた。

最初から一口の幅に切られているものより、こういう料理は、どこから触れるかで次の形が変わる。中央から分ければ大きな二つになり、端から寄せれば薄い一片になる。食べやすさは量だけでなく、残す側の形にもある。

箸先をいったん離し、皿の手前の緑を寄せた。切り身の端はまだつながったまま、細い筋だけが光を受けていた。