左手の重さ

レンズの下へ左手を入れたまま、右の親指で上面の小さなダイヤルを一つ回した。指先の下で細かな刻みが短く止まり、カメラの重さは左の掌へ残った。
設定を変えるには、両手をいったん離してもよさそうに思える。しかし、レンズを支える手まで外すと、本体の前が少し下がる。小さな調整のあいだ、片方の手は何も変えずにいる。
右手の指が止まると、左手の指を一度だけ開き直した。重さの位置は同じでも、掌に触れる金属の縁が少し移った。
肩ひもが胸の前で揺れを止めたあと、両手はまた同じ形へ戻った。次に構えるための軽い変更だけが、指のあいだへ残っていた。