或る世界

切った後の渦

平らだった薄い皮が、切り口で何度も戻ってくる

切り分けられた菓子の端に、薄い皮が小さな輪を重ねていた。外側では一枚の金色に見えたものが、切り口では細い線を何度も内側へ返している。

断面を見ると、隠れていた中身をのぞいたように思う。しかし、そこに見えるのは詰められたものだけではない。平らに広げられていた皮が、折られ、巻かれ、重ねられた順序まで、切った面に残っている。

外から見れば、菓子はひとまとまりの形をしている。切り口だけが、その形になる前に通った曲がり方を、奥行きのない線としてほどいてみせる。

一口ぶんを皿へ移すと、輪はすぐ崩れた。けれど口へ運ぶ前、中心から外側へ続く細い皮の列だけは、手の中でまだ巻かれたままだった。