一番線の端

改札を抜けたところで、鞄の車輪が床の継ぎ目に小さく当たった。引いていた手を止め、持ち手を一段短く握り直すと、鞄は自分の踵より少し後ろへ収まった。
通る前には、鞄は身体の幅より外へ出ていた。人の流れへ入るために、片手を後ろへ伸ばしていたからである。改札を越えたあとも同じ持ち方で歩けば、次に曲がるとき、車輪だけが遅れてついてくる。
持ち手を短くすると、鞄は急に軽くなったようには見えない。ただ、腕から足もとまでのあいだへ近づき、曲がるための余白が少しできた。
案内板の下で、前の人が一度立ち止まる。私は鞄を横へ寄せ、その人の肩が動いたあとに歩き出す。車輪はさっきの継ぎ目を越えた音を残さず、黄色い線の脇をまっすぐ進む。