人混みのまばたき

低い日差しを避けて、前を歩く人の肩の影へ目を置いた。その人が少し左へ寄ると、首の脇から白い光が差した。瞼を閉じかけたところへ、別の人の頭が重なり、光はまた消えた。
影の中へ戻ろうと半歩左へ移った。正面の人と歩幅を合わせたつもりでも、向こうは手すり側へ曲がり、影だけが先に足もとから外れた。今度は隣を追い越す人の背中が夕日を塞いだ。
二人の間が開くたび、細い光が顔へ届いた。隙間はすぐ別の肩で閉じ、足を出すたび明るさが入れ替わる。私は進む先より、次に重なりそうな頭を見て歩いた。
モスクの尖塔は暗いまま空へ立っていた。その手前で一人が立ち止まり、流れが左右へ分かれた。夕日が正面から丸く現れ、私は影を探すのをやめて、掌を額へ上げた。