川岸に壁を足す

石の柱へ近づくと、光の縁に彫り溝が現れた。けれど、ナイルの反対側からルクソール神殿を見ると、その線はもう読めない。列柱は細部を失い、同じ間隔で立つ縦の影になっていた。
その手前には、大型のクルーズ船が横付けされている。白い船体に客室の窓が何十枚も並び、神殿の柱の下半分を隠していた。石の列の前へ、ガラスの列がもう一つ差し込まれている。
窓の列から上へ目を移すと、そのまま石柱が続いていた。だが白い船体の向こうは透けていない。二つの建物がつながったのではなく、手前の船が神殿から見える高さを奪い、残った上部だけを自分の屋根へ載せていた。
小舟が白い船体の前を横切った。屋根が客室の窓を順に隠し、船尾を越えると青い水面へ出た。古い柱、停泊する窓、進む小舟が、川越しの視線の中で三つの層に分かれた。
大型船が岸を離れれば、白い壁と窓の列は正面から抜ける。神殿に足されたように見えた一階分が水の上を去り、隠れていた石柱の下端だけが同じ岸へ戻る。