高さをそろえる

壁に残った手形は、一つずつ大きさが違っていた。小さな掌には短い指がつき、その上の大きな跡は広く親指を開いている。押した人の名は分からなくても、触れたときの寸法は同じ一枚へそろえられずに残っていた。
アブ・シンベルの小神殿では、王妃ネフェルタリとラムセス二世の巨像が正面に並ぶ。顔や冠は異なるのに、二人の頭頂と足もとはほぼ同じ高さに置かれていた。公式資料によれば、王妃像を夫と同じ大きさにしたのは珍しい表現だという。
手形の寸法は、押した身体から表面へ移った結果である。そこでは差を残すことに、選択はいらない。石像の高さは反対に、岩の上で選ばれた寸法だった。同じ高さへそろえることが、二人を同じ列で読ませる働きを持っている。
大きさは、いつも身体についてくる事実ではないらしい。手形では誰が押しても違いを隠さず、像では異なる二人が同じ高さを与えられる。寸法は身体を写すこともあれば、身体同士の関係を作ることもある。
像の列に沿って歩き、王妃の冠から王の冠へ視線を移した。二つの頂は青空の同じあたりに触れたまま、入口の暗い長方形を左右から挟んでいた。