或る世界

欄干から空へ

飛び立った数だけ、塔のまわりに空が増える

欄干に並んでいた鳥が一羽、羽を開いて塔から離れた。隣の二羽も続き、さっきまで白い背で埋まっていた飾りの間に、細い空が見えた。

飛び立った鳥はミナレットの丸い頂を回り、明るい空へ散った。黒い一羽を目で追うと、その後ろを白い鳥が横切り、どちらを追っていたのか分からなくなった。塔だけは同じ位置に残っている。

しばらくすると、一羽が脚を前へ出して欄干へ戻った。空いていた飾りの上へ白い腹が重なり、塔の縁がその分だけふくらんだ。すぐ横では、別の鳥が翼を持ち上げている。

その鳥が飛び立つ前に、先ほど戻った一羽が身体を横へずらした。二羽分の隙間は一羽分になり、塔の外では白と黒の羽がまだ交差していた。