或る世界

足もとの正面

見上げて失った向きを、足先で拾い直す

太い柱を一つ回り込んだ。顔を上げると、正面にも左右にも似たアーチが重なり、さっき入ってきた方角が分からなくなった。

どちらへ向いても、石柱の上には木の梁が渡り、その先にまた柱が立っている。吊り灯の間隔までよく似ていて、目を遠くへ送るほど、四方が同じ奥行きへ続いた。

足もとを見ると、赤い絨毯の細い列だけは一つの向きを保っていた。横切れば境が次々に足先を通り、列に沿って向き直ると、その横切る感触が止まった。

その列をたどると、途中の柱脚で赤い帯がいったん隠れた。身体を半歩ずらすと、同じ列が石の向こうから現れ、足先をもう一度まっすぐ先へ向けた。