或る世界

海を連れて曲がる

曲がるたび、海と山が同じ側へついてくる

マトラの海岸通りを歩いていると、舗道は湾に沿ってゆっくり左へ曲がった。正面にあった青いドームが少しずつ横へ移ったのに、海は同じ側から離れなかった。

反対側には、白い建物のすぐ後ろから岩山が立ち上がっている。通りを渡って街の奥へ入ろうとすると、短い道の先を茶色い斜面が塞いだ。

曲がる前には、通りが左へ別れていくように見えた。曲がった先でも、海側の欄干と山側の建物の間隔はほとんど変わらない。舗道は新しい方角へ離れず、二つの縁のあいだをなぞっていた。

湾の上を黒い鳥が一羽、舗道を斜めに追い越していった。こちらが白い欄干に沿って弧を歩くあいだに、鳥は水面の上へ短い直線を引いた。