額縁には表が二つ

建物の中央に残った空を、通り抜ける入口だと思った。ドバイ・フレームの空白は、身体を向こうへ運ぶ代わりに、身体の向きを二つに分ける。
上からは、一方に古い市街、反対に新しい街並みを望むよう造られているという。普通の額縁には表があり、裏へ回れば絵は見えなくなる。ところが、この枠では振り向いた側も正面になる。同じ四辺の内側で、景色の年代まで入れ替わる。
古いものと新しいものは、街の中で一本の線を境に分かれているわけではない。それでも高い枠へ二つの向きを与えると、見る人の身体が境目になる。建物は動かず、向きを半周変えるだけで、街の別の時間へ正面を向けられる。
足もとから見上げた枠には、市街の新旧ではなく、暗くなりかけた空だけが収まっていた。どちらの正面にも属さない色が、二つある表のあいだでゆっくり夜へ変わっていった。