空の入口

正面の建物は、近づくたびに横へ広がった。左右の塔は窓を増やし、中央にあいた青い部分だけが、同じ空の色を保っていた。
遠くにあるうちは、それも建物の形に見えた。壁が空を切り抜き、真ん中に青い模様を置いている。道路がまっすぐそこへ延びていても、まだ通れる場所には見えない。
車が一台、中央へ吸い込まれるように小さくなった。そのとき、青い部分の下に影があることに気づいた。空だと思って見ていた形が、向こう側へ抜ける入口へ変わった。
建物は動かず、穴の大きさも変わっていない。変わったのは、そこへ身体が届く距離だけだった。
さらに近づくと、空は輪郭を失い、暗い天井の奥へ退いた。さっきまで建物の中心にあった青は、くぐる直前には、もう入口の向こう側にしか残っていなかった。