鉄板には途中が並ぶ

鉄板の上には、焼き色の濃いものと、まだ白いものが一緒に並んでいた。先に置いたものが仕上がるまで火を空けておくのではなく、その隣では次の一品がもう始まっている。
一つずつ作るなら、途中は一つしかない。焼き始め、裏返し、皿へ移してから、次の材料を置く。順序はわかりやすいが、最初の一品が熱を受けているあいだ、作る手には待つ時間が生まれる。
広い鉄板では、その待ち時間へ別の途中を入れられる。片側で焼き色がつくのを待ちながら、中央の具を返し、空いた縁へ新しい生地を置く。同じ火の上にあっても、始まった時刻が違うから、仕上がる時刻もそろわない。
料理を同時に作るとは、同じ動作を一斉にすることではないらしい。異なる段階を見分け、いま手を入れるべき場所だけを順に選ぶことである。鉄板には完成品が並ぶ前に、いくつもの残り時間が見える形で置かれていた。
一つを皿へ移すと、その跡へ新しい材料が置かれた。空いた場所は休まず、最初から別の時計を動かし始めた。