或る世界

読めない大見出し

意味の手前で、読む順番だけがこちらへ届く

見慣れない文字で埋まった紙面を開くと、何が書かれているのかは一行もわからなかった。それでも、最初に目が向く場所はあった。いちばん大きく太い文字、その下の短い行、さらに細かな文字の列である。

文字は意味を運ぶものだと思っていた。読めなければ、そこから先へは進めない。しかし紙面は、言葉の内容とは別に、どこから見て、どこを詳しく読むべきかを形で伝えている。

大きさは重要さを、太さは区切りを、行の長さは見出しと本文の違いを知らせる。何が重要なのかは知らない。それでも、重要なものとして置かれた場所だけはわかる。読む能力を持たない目にも、編集された順番の骨組みが残る。

指で細い行をたどってみたが、音にも意味にもならなかった。けれど視線は、大きな文字から小さな文字へ、写真からその脇の列へと動いていた。記事は読めないままなのに、紙面から教えられた順序だけは、すでに読んでいた。