或る世界

明るすぎる出口

光が増えた先から、景色の細部が消えていく

建物の外へ出ようとすると、出口の向こうが白く光っていた。明るい方へ進んでいるのに、外に何があるのかは、暗い屋内よりかえって見えない。

ものを見るには光が必要である。暗ければ輪郭を失い、近くの人も影になる。だから、明るさが増えるほど、景色は詳しくなるように思っていた。

しかし、屋内に慣れた目には、強い光も細部を消してしまう。柱の先も、道の色も、外へ出た人の服も、一枚の白さへ溶ける。足りない光と、多すぎる光は、反対側から同じ見えなさへ近づいている。

出口は方角としてはよく見えていた。いちばん明るい場所へ進めばよい。ただ、その先の景色を知るには、境を越えたあとで目が追いつくのを待たなければならない。

明るさは、先のすべてを先に見せてくれるわけではないらしい。白い出口へ近づくほど、行く方向は確かになり、行った先の形はわからなくなった。