一つの手、いくつもの遠さ

何本もの引き綱を一つの手で持って歩くと、手の中では細い束でも、その先には別々の大きな身体がいる。ラクダは横へ広がり、前後へずれ、同じ場所には重ならない。
まとめて連れていくなら、一か所へ集めるものだと思っていた。しかし、綱が束になるのは手元だけである。遠い端では一本ずつに分かれ、それぞれが別の首へ届いている。身体を重ねず、関係だけを小さな握りへ集めている。
手が持っているのは、ラクダの重さではない。離れすぎたときに張る長さと、どちらへ戻れば緩むかという向きである。一頭が横へ外れれば、その一本だけが先に手へ知らせる。
群れを一つにすることは、全員を同じ位置へ置くことではないらしい。違う場所にいるまま、それぞれとの距離を同じ手へつないでおく。砂の上ではいくつもの足が別々に動き、その遠さだけが掌の中で束になっていた。